医療情報

2020.07.12

腹部超音波検査について

 こんにちは、院長の石橋です。ジメジメした梅雨空が続く中、いかがお過ごしでしょうか?今回は、当院で内視鏡検査以外に積極的に施行している腹部超音波検査についてお話したいと思います。

 腹部超音波検査は、腹腔内ならびに骨盤内臓器の病変や腹水、出血などの有無を、体に負担なく調べることができる検査法です。検査自体は、おなかに超音波の透りを良くするゼリーを塗ってから、超音波を発するプローブという機械を当てて、反射した超音波を画像化して調べます。超音波は、臓器の硬さや厚さ、しこりの有無などによって、反射の仕方が異なるため、臓器の腫れや萎縮のみならず、臓器内の腫瘤や腹水・出血などが診断できます。またX線検査では放射線の被ばくのリスク、造影剤使用時のCT検査やMRI検査では、造影剤によるアレルギーや腎機能障害のリスクが少なからずありますが、超音波はいくら体内に照射しても問題はありません。おなかにプローブを当てて調べるだけなので、検査時の苦痛もなく身体に優しいだけでなく、肝臓、胆のう、すい臓、腎臓、脾臓、前立腺、膀胱など多くの臓器を一度に調べることが可能です。また超音波検査のみで診断が確定するわけではありませんが、肝硬変症、肝臓がん、肝血管腫、胆のうポリープ、胆のう結石、急性胆のう炎、胆のうがん、急性膵炎、慢性膵炎、膵がん、膵のう胞、腎結石、尿管結石、腎臓がん、脾腫、前立腺肥大症、前立腺がん、膀胱がんなどの疾患の診断に有益な情報が得られます。さらに胃・大腸などの進行がん、胃腸炎、虫垂炎、腸閉塞などの診断においても、超音波検査が威力を発揮するケースが少なくないことを経験しています。

 当院では、医師の診察室のベッドサイドに超音波診断装置を置いており、何らかの腹部症状があり来院された方や、健康診断や人間ドックで異常を指摘された方などに、積極的に超音波検査を実施しています。また、胆のうポリープや肝血管腫などの経過観察やがんの治療後のチェックのために定期的な検査も行っており、もし気になる症状が続いていたり、健診・ドックで異常を指摘された場合には、お気軽にご相談ください。

 もし超音波検査をご希望の場合は、事前の食事は抜いてきていただくほうが、食事の影響を受けずに精度の高い検査が受けられることが多いと思われます(午前の診療では朝食、午後の診療では昼食抜きで)。特に超音波検査で観察されることが多い胆のうについては、食事を摂ると収縮するため、結石やポリープなど詳細な観察が困難となる場合もあり、絶食での検査をお勧めしています。また膀胱を観察する場合には、尿を溜めておくことが必要です。体格の大きい方、太った方、腸管ガスの多い方などは、超音波による描出自体が難しいことが少なからずありますが、3万件を超える数多くの超音波検査の臨床経験がありますので、ご安心ください。

 超音波検査で、腫瘤がある、腹水がある、リンパ節が腫れているなどの異常が見つかった場合には、腫瘍マーカーなどの血液検査や造影CT・MRI検査、PET検査などの精密検査が必要になります。血液検査は当院でもできますが、CT・MRI検査やPET検査などは他の医療機関などで受けていただくことになります。当院では、CT,MRIなどの画像診断を専門とするクリニックや仙台厚生病院、仙台医療センターなどの高次医療機関との連携もとれておりますので、検査所見にあわせて適切なタイミングで各医療機関にご紹介させていただきます。腹部超音波で異常が見つかった場合には、おなかの中の臓器に何らかの病気が潜んでいる可能性があります。日ごろから腹部症状が気になる方はもちろんのこと、自覚症状がなくても健診、ドックなどで異常を指摘された方など、早期発見・早期治療のために、一度超音波検査を受けていただくことをお勧めいたします。

 

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